前編の続きー。
シナリオまんまなのでネタバレ注意。
さて、盗賊の野営地に向かった日の夕方のこと。
馬を駆るPCたちは、彼らと同じくらいの速度で併走する黒い影に気がついた。
その影は犬か狼のように見えたが、奇妙なことにベルトやバンドで体にいくつかの袋や鞄をくくりつけていた。
そしてそいつは、いつしかPCたちの方に近寄ってくる。
何かがおかしい。
そう一行が思ったとき、その姿を間近に見たリルカがヒッ!と引きつった声を上げる。
リルカ「お、狼男! そいつ、狼男だよ!」
狼は、笑みの形に口元をゆがめるとともに、4本の足で走っていたものが後ろ足だけで走るようになり、空いた手にはいつしかロングソードを握っている。
狼男「ヒヒッ! 久しぶりの女の肉だぜ、ヒャッハー!」
アル「……あーっ! やべえ、悪を討つ一撃、朝使っちゃった……」
リルカ「〈知識〉成功したけど……銀の武器持ってる人ー?」
他のPC「…………【無言で目をそらす】」
リルカ「・・・ですよねーw」
リルカの看破したとおり、狼男は銀の武器でないとなかなかダメージが通らない。ジュゼッペのメイスも、マルルイスの大斧による急所攻撃も、そして悪を討つ一撃を失っているアルティンの長剣も、狼男に大きなダメージを与えるには至らない。
絶望がパーティをたたきのめそうとしたその瞬間--危地を救ったのは、またもリルカであった。
リルカ「では”まどろみ”で。DC16の意志でどうぞ」
GM「なっ……16……だが狼男をなめるなよ! 俺とて魔物のはしくれ、貴様ごときのまどろみなどはじき返してくれ……ギャー」
マルルイス「あ、眠ったですか。じゃあクリティカル時のダメージ3倍の大斧で”とどめの一撃”を。急所攻撃も乗りますよね?」
GM「…………………………ちぇー」【フィギュアを取り除く】
まどろみ強ぇ。ギャワー!
***
その後、2日かけて森を移動し、盗賊たちの言っていたものとおぼしき川を見つけた一行は、川をさかのぼるように森を進む。
やがて半日ほども歩いたろうか。それまでほとんど人のいる気配がなかった川に、いくつか大きい石を投げ込み渡れるようにしたとおぼしき場所に出た。
マルティン「このあたりが、奴らの言っていた野営地なんですかね?」
辺りを見回しながら1人ずつ川を渡る。
そして2人が渡り終えたとき、木の上に隠して設えられた足場から、一行に向かって矢が射込まれた。
と同時に、前後から剣を手にした男たちが飛び出してくる。
樹上の6人の射手と、地上からは6人の剣士。そして、両手に手斧を下げた女が最後に姿を現した。
女「フン、冒険者かい? 有り金と装備全部と、ついでに命も置いていきな!」
言いながら、女はジュゼッペに手斧を投げつけた。
GM「おっと、当たったね。……ジュゼッペ人間だっけ? じゃ、1d6+5点な」
ジュゼッペ「+5ォ? 痛い痛い痛い!」
ええ、「得意な敵:人間」ですとも。
「この地方の社会は大多数が人間である」とかプレイヤーガイドで誘導しときながら「得意な敵:人間」とか容赦なさすぎるだろw
包囲されてる上、剣呑な女レンジャーまで!
絶体絶命のピンチ!
……かと思いきや、12人のザコ盗賊は全員ウォーリア1レベル。
ACが17以上ある上、ジュゼッペのボディーガード&ハーフリング育ちでAC+4されるPC一行にはまるで攻撃が当たらない。
最初は包囲して、挟撃やら援護やらで無理やり当てていたものの、ダメージも小さく、結局はたいしたピンチも招かずに盗賊団は壊滅させられた。
その後、女レンジャーが件のクレッスルであること、彼女は牡鹿卿には一度しか会ったことがないこと、上納金は森の中の神殿跡に持っていくことになっており、牡鹿卿がどこにいるかは秘密にされていること、神殿跡は大きな熊に守られているため、彼女ら自身も長居したことはないことなどを聞き出す。
アル「はい、じゃあ手下のみなさーん。彼女の首に掛かったロープを引っ張ってくださーい」
盗賊「そ、そんなぁ……」
アル「引っ張らない人は死刑でーす」
盗賊「ヒ、ヒィィ……」
他のPC「…………」【どんびき】
GM「…………」【どんびき】
アルティン「えー、だって盗賊は法に従ったら死刑でしょー? パラディンとして司法を代行しただけですよー」
問1:パラディンの『秩序にして善』とは何かについて、200文字以内で答えなさい。※1
そして、野営地に残されたお宝や飼われていた馬、保存されていた干肉等の食料などを戦利品として獲得した一行は、時間も遅いので野営地に一泊することにした。
その夜のこと。
GM「はいじゃあ夜のお楽しみ、エンカウントチェックでーす」
PC一同「うへぇ……」
GM「(ころころ)お? ……特に意味はないけど、夜番のジュゼッペ君、d100ロールをしてみないかね? 特に意味はないけど」
ジュ「絶対なんかあるw (ころころ)……84です」
GM「では、みんながたき火を囲んで眠る中、一人だけ起きていたジュゼッペ君は、近くの木の根本に直径4~50cmの穴が開いていて、そこからかなり大きな虫が一匹顔を出してるのが見えまーす。」(中型の虫のフィギュアを置きながら)
ジュ「……センチピードかぁ……まあ、じゃあみんなが起き出さないうちにさっさと倒してやろうかね」(フィギュアを『虫』の方に近づける)
GM「あ、近づく? じゃあ、15ftのところで機会攻撃な」
ジュ「……はい?」
GM(フィギュアを超大型の虫と交換しながら)「このクリーチャーはジャイアント・ウィップテール・センチピードというこのへん特有の虫で、常に”這い進む”状態の代わりに狭いところを通るときはMサイズクリーチャー扱いというクリーチャー。なんで、穴からにょろにょろ出てきた本体はヒュージで、機会攻撃範囲は15ftな。……あたり。2d6+7点と毒ね」
ジュ「死ぬ死ぬ死ぬ!」
まあ、ネタがばれてしまえばたいしたクリーチャーではないので、結局たいした損害もなく倒されたのですが。
ただ、ヒュージでACが11(常に”這い進む”しているため)、でもhpは38あって、しかも攻撃は+4しかない、代わりに当たると2d6+7+毒と、「でかくて当たると痛いけどこっちの攻撃もバリバリ当たる」という、初心者向けとしては非常に良いクリーチャーだと思うのですよ。
あと「ウィップテイル」って足払い攻撃も持ってる。命中-1だけどw
そして翌朝、拾った馬をせき立てつつ、オレグの交易所に向かったところで第1回終了。
以下次号ー。
ちなみに本編で非常にアレなパラディンのアルティンの日誌もあるで、mixi見れる人は見るがいいさー。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1795640393&owner_id=6389633
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1796189888&owner_id=6389633
※1 ちなみにPFでは3.Xeよりアライメントの考えの幅が大きく設定されてるので、いしかわ卓ではプレイヤー本人が「こういうLGだ」というならそれでOKとしてます。まあ、あんまりキャラがぶれるつーか「都合のいいときだけLG」とかなら考えますがw
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5 件のコメント:
Pathfinderは人間血統が超強化されたので、パーティー5/6人間か半人間とかざらになりましたからねえ。
ウチもキャンペーン後半はヒューマンベインアローが(主に敵側から)乱れ飛んでました。
>ヒューマンベインアローが(主に敵側から)乱れ飛んでました。
ちょw 普通にひでえw
まあ、GMはそれを上回るひどい目に遭わされてるんであろうことは想像に難くないですがw
まどろみは強いですよね。
これをとらないウィッチを知らないくらい強い……そういう意味では面白味には欠けるのですけど。
エロいDMの元で生き延びるにはPLもエロくならざるを得ない(もっともPLがエロいとDMもエロくなっていくというのもまた真理ではある)ということは骨身に染みているからもし私がウィッチを作る場合も取るとは思うw
楽しませてもらっています。
アルティンェ…w
そういえば、PCの性別ってどのようになっていますか?
PC紹介の際には記されていなかった…かと。
ウィッチのリルカ以外はみな男性ですかね。
>匿名さん
まあ、他に使えるのが無(以下略
”不運”とか通されたときのウンザリ感はすごいですけどねw ”魔女笑い”で延長されるし。ウゼー。
>ほまれさん
PCは今のところリルカだけが女ですかね。
第3回から入ってくる新キャラが女ですが、ご期待に添えるようなキャラかっつーと、ウン、まあ、アレだ。
第3回をお楽しみにw
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