2018年5月6日日曜日

【PF】多島海の海賊王 第14話&第15話 西の遺跡に潜むもの 

第14回&第15回

船長 デニックス レンジャー PL扇
主計町 アレクサンドラ ハーフエルフのアルケミスト PLL-Heart
航海長 ライルニス エルフのウィザード PL備前屋
砲術長兼船医 アマータ ハーフエルフのクレリック PLうら
書記 ソモサン モンク PLほりび
帆布長 カガン ノームのドルイド PLいしかわ

6レベルになりながらもぱっとしないドルイド魔法と、ノーム故のもともとの身体能力(特に【筋】)の低さに変身してもあんまり有効じゃないあたりで煩悶しつつ冒険を続けるカガン。

カガン「俺、種族変えちゃダメか? ハーフオークとかに」
GM「いくら自由度高いキャンペーンっても、さすがにそれはないわwww」

ですよねー。
ぐぬぬ。


2/14
前回に引き続き、ハグのいた山を平定のため捜索中。
日が変わる直前くらいに、我々のキャンプ地に何者かが近付いてくるのに気がつくところから今回の冒険はスタートする。





カガン:ハイド・キャンプサイト呪文使ってるけど。

ハイド・キャンプサイトはAPG所載の3レベルドルイド呪文。キャンプ地を藪などに偽装し、内側から外にはにおいも音も漏れないという優れもの。特に疑問を持って探す等しない限り意志セーヴすらできない。

GM:……近付いてきたのはグリーンハグが2匹と、それよりも年老いて背の曲がった老婆のハグで、手には大きな目玉のようなものを握りしめている。

カガン:なんか説明と明らかに違う外見に見えるんですがw
ライルニス:目玉……(ころころ)〈知識:地域〉で39。「おそらくグライアイだ。」

グライアイはベスティアリィ4で追加されたハグの眷属で、手にした目の力で世界のさまざまなものを見通し、敵対するものに呪いを振りまくという。

グライアイ「おかしいね、あたしの神託じゃあ、ここら辺にいるはずなんだが」

3匹は辺りを見回し、においをかぎ回るも魔法に隠された我々のキャンプを見つけられず、あきらめて別の場所に移動しようと歩き始める。
こちらの様子は一切伝わらないのを幸いに、全員がかけられるだけのバフをかけた上でキャンプから飛び出し奇襲をかける。

グリーンハグはカガンのエンタングルによる足止めが功を奏し、実力を発揮する前に飛び道具で撃破される。
グライアイは持ち前の飛行能力で空中をふらふら跳びまわりながらこちらに次々と呪いを投げかけてくる。さらには神与の外皮(DR5/epic)と呪文抵抗(SR)までを備え、ちょっとやそっとでは倒せない。

かに思えたが、アレクサンドラのエンラージ・パーソンを受けたソモサンは、そのまま持ち前の運動能力で空中のグライアイに飛びつくと、ただそのまま落下するというすさまじい戦術により地上に引きずり下ろした。

ソモサン「必殺! 暗黒流れ星!」*1

手の届くところまで来ればDRやSRなどないも同然。
グライアイは物理的な袋叩きを受けて抹殺された。

その後、足跡をたどって見つけたグライアイたちのねぐらにはそれなりの量の宝が収められており、かなりの重量になったため、いったんメノルカの町に戻ることに。


2/16
メノルカに着いてみると、港には海賊評議会印の輸送船が横付けされていた。

副長「あっ、若! 評議会から戦利品の割り当てが届きましたぜ!」

先日の戦いの戦利品の割り当てが届いた、のはよいのだが、今回は奴隷100人であったという。
確認したところ、40人は元海兵で、訓練なしですぐに船乗りとして補充できるとのことだが、あとの60人は訓練する手間と時間も無いため、一旦町の周辺の開拓でもしとけということに。

カガン「うーん、そろそろ新しい船増やさないとですかのう……」
デニックス「言うても先立つものがないしなあ……」

金がないのは首がないのといっしょだのう……
【BGM 昭和枯れすすき】


2/23
例の遺跡目指して探索続行。
その途上、山中で「サイコポンプ」*2と呼ばれる謎の生命体2体が空から襲いかかってくる。
ライルニスが言うには、輪廻を監視する機械のような生命体で、ふだんは別次元におり、この世界を監視しているというが、ふだんはこちらの生物を襲うことなどないという。
しかしこの2体はなにかぶつぶつと繰り言を口にしたり、明らかに様子がおかしい。

わりには戦術的には的確に、こちらの攻撃が届かないあたりをふらふら飛び回りつつシアリングライトを連発してくる。

カガン「またかよ! 狂ってるなら攻撃も狂えよ!」
GM「では、カガンにシアリングライトが2発。」
カガン「イエナンデモナイデス。トクニイケンハナイデス。」

ライルニス「まあとりあえず、通ればいいなくらいのあいさつ代わりに」

ファイアーボールをぶち込むと、偶然両者のSRを抜き、けっこうなダメージが入る。すると、両者とも正気を取り戻したようで、両手を挙げたまま地上に降りてくる。

話を聞くと、どうやら例の遺跡が放つ怨念に気を狂わされ、常ならぬ行動をとってしまったと言うことらしい。

彼らは無礼のわびとして*3、遺跡の浄化をなし得た暁には、彼らの力を持って死の運命を2回『なかったこと』にしてくれるという。
さすが死神の端くれ、言うことがデカいw
こちらとしては損はない話なので、快く引き受けて別れる。


2/26

ようやく西の遺跡にたどり着く。

遺跡中央の聖堂らしき建物から放たれていた死の波動*4もずいぶん収まり、聖堂のごく近くまでしか届かなくなっているいるようだ。それまで見られなかった小さな虫や小鳥が遺跡のそこここに見受けられ、石畳の隙間からは雑草が芽吹きはじめている。

アマータ「とはいえ、聖堂の周りはまだ草一本生えてませんね……」
デニックス「聖堂の扉まで30フィートくらいはエネルギーが届いてるのか…… 1分おきに出てるんだっけ? ちょっとキツいな……」
アレクサンドラ「とはいえ、見てるばかりというわけにもいきますまい。意志セーヴ良好な私にひとつお任せを」

というわけで、防御能力が高く、単体攻撃力もあるアルケミストのアレクサンドラにプロテクション・フロム・イービルをはじめ、かけられるだけのバフをかけ、威力偵察にいってもらう。

死の波動に打たれながら、そっと聖堂の扉に触れたアレクサンドラを、恐るべきヴィジョンが襲った。

---

そのヴィジョンは、どうやらこの遺跡がまだ遺跡でないころ、幾多の住人たちが住んでいたころのもののようだ。

しかし街はあちこちが炎に包まれ、無事な建物は目の目の聖堂だけ。街路には焼け焦げた死体が無数に折り重なり、息のある者も身動きできぬほどのやけどを負っているようだ。


聖堂はすべての扉にしっかりかんぬきが下ろされ、窓という窓には内張が施されていた。唯一開いている窓からは裕福そうな身なりの男がバルコニーに跪き、額をこすりつけるようにしてアレクサンドラの方に謝意を示している。

アレクサンドラが振り返ると、そこには体高30フィートほどもあろうかという巨大な赤竜が目に嗜虐の光を浮かべながらたちはだかっていた。

「ラケシス様、どうか信じてください! 我々は決して税をごまかそうなどと考えてはおらぬのです! ただ、不幸な間違いが積み重なったためにこのような…… ああ! お詫びに本日より上納金を倍、いや3倍お支払いいたします! どうか、どうかお怒りをお鎮めください……!」


「ほほ、ごまかしてはおらぬてか。それではわらわが間違っておるから、主らの街が焼き払われたと、こう申すわけじゃな」


「い、いえ! そのような…… ああ、どうかお許しを お許しを……」


赤竜はくわっと目を見開き、あたりが震えるような声で叫ぶ。


「人間風情が、わらわをだまし仰せようとは片腹痛い! その愚鈍さにももう飽き飽きしたわ! そこに居たいというなら、よかろう、望みを叶えてくれる!」


赤竜は男をつまみ上げると、剣のように鋭い爪で、葡萄の実を切り裂くかのようにいとも簡単に男の腹を断ち割り、聖堂の大理石でできた白い屋根にその血で古い竜語の呪を刻みつけると、男の遺体をその中心に縫い止めた。

「くく。死ぬのが恐ろしかったのであろ。死なぬ身を与えてやろうではないか」
 竜の牙だらけの口が古の呪文を紡ぎ出すと、男の心臓のあったあたりから黒い影が沸きだし、苦しげにのたうちながら出たり入ったりを繰り返す。
 やがて影は黒い人の形を無し、陽の光を避けるように聖堂の壁をすり抜けていく。

「さて、そのようなちんけな建物でわらわの炎を避けられると思うておる、その心根にも腹が立つ。よいわ、未来永劫その中に立てこもっておれ!」


赤竜は胸一杯に息を吸い込んだかと思うと、すさまじい量の炎を聖堂の壁にはき出した。はじめ大理石の壁に退けられていた炎は、その熱をじわりじわりと聖堂の中に伝える。

やがて聖堂の中からはうっすらと悲鳴が漏れ聞こえてきた。
赤竜の息継ぎの間を除き、炎は聖堂をあぶり続け、どんどん大きくなる悲鳴がやがてか細くなり、ついには聞こえなくなったころ、炎に炙られた壁はうっすらと白熱し、建材が膨張してできた隙間から黒い煙が薄く立ち上った。

ごふう。


せせら笑うかのように最後の炎を吹き出した赤竜は、目を三日月の形に細め、頬に満足げな笑みを浮かべると、ばさりと大きな音を立てて西へと飛び立っていった。


---

恐るべき竜によるおぞましい光景を一度に心に流し込まれたアレクサンドラは、一瞬のうちに恐慌状態に陥る。
しかし、アマータが準備していたリムーヴ・フィアーにより自分を取り戻し、震える手で聖堂の扉を開いた。

扉の向こうは広い聖堂の礼拝堂のようだったが、すべてがススと炭で覆われていた。さらに、礼拝堂いっぱいに、炭化した丸太のようなものが無数に折り重なり、積み上がっていた。

アレクサンドラ「……! 炭化した人間か……」

高温で蒸し焼きにされたため、避難していた人々が炭に変えられていたらしい。

死の波動は礼拝堂の奥の祭壇から放たれているのを感じていたアレクサンドラは、懐から取り出した爆弾で「炭の山」を吹き飛ばし、通過できるスペースを作りながら進む。

そして爆風が祭壇にひときわたくさん折り重なる”炭”を吹き飛ばしたとき、アレクサンドラはその周辺で、動かぬはずのなにかが動くのを感じた。

祭壇の影から、黒いぼろきれがふわりと舞い上がった。しかしその布はものに触れても揺れること無く通り抜け、ただ体の動きにあわせてふわふわと宙を漂っていた。
やがてぼろきれの隙間から、鋭い牙を無数に生やした大きな口が現れると、アレクサンドラの方にむけてにい、と笑みを見せる。

「殺す…… 死ね…… 死ね…… 死ネ…… コロ…… 死……」

しわがれてはいたが、その声は確かにアレクサンドラがヴィジョンの中で聞いた、ラケシスに呪われて死んでいった男の声だった。
その声に呼応するかのように、周囲の”炭の山”から次々と人型の影が立ち上がり、アレクサンドラの方に向かってくる。

ライルニス「まずい! ガイストとシャドウだ! どっちも非実体で、能力値ダメージ持ちです!」
デニックス「いかん! 助けに入るぞ!」
ソモサン「おう! ……おう ……非実体かー……w」*5
カガン「心配するな! 宿れ自然のパゥア! グレーターマジックファング!」
ソモサン「ぉ……ぉぅ……w」*6

先行していたアレクサンドラが早々にシャドウに攻撃され、【筋】を奪われる。
回避力を高めるためリデュース・パーソンしていたことがアダとなり、【筋】が残り3点に。
アレクサンドラ「ギャー! 死ぬ死ぬ死ぬ! シャドウにされるぅー!*7」

次いでガイストの不気味な笑い声が聖堂内にこだますると、恐怖に駆られたカガンが出口めがけて一目散に逃げ出した。
カガン「たーすーけーてー!(スマンみんな、あとを頼む……)」
戦闘前にかけていたヘイストのおかげで移動力が増加していたカガンは、あっという間に戦場を離脱する。

なんとか前線に駆けつけた前衛二人がシャドウを葬っていくが、滅ぼしても滅ぼしても、シャドウは次々と祭壇から現れる。ついにはデニックスやソモサンも【筋】を吸われ、攻撃にも支障が出はじめる。

デニックス「……これやっべえんじゃね?」

しかし、ここでアマータがネクロマンサークレリックとして活躍を見せる。
《エネルギー放出高速化》で正のエネルギー放出を連発しつつ、《アンデッド威伏》でシャドウを押さえつけ、さらにはガイストにダメージを与えていく。
さらにはライルニスが惜しみなく攻撃呪文をたたき込み、シャドウの数を減らしていく。
シャドウたちの防御をかいくぐったデニックスがガイストに斬りかかったところに、いつのまにか敵のいないところに避難していたアレクサンドラが放った聖水により、ガイストはついにその長き呪いから解放された。


炭化したのは裕福な人々が多かったようで、炭の山のそこかしこには貴金属が残っていた。

ライルニス「ま、我々海賊ですしね。」
デニックス「そもそもこの島のものは俺のものと言っても過言ではないしね。」

ということでありがたくいただきつつ、祭壇を調べてみると、中央には手に燭台を持つ、ひげを生やした男の像があった。


ライルニス「ふむ、パシレウスという、かつての英雄にして伝説の王の像ですね。いまではオデュッセウスとも呼ばれ、神として崇められてます。策略、嘘、自慢、旅などを権能としてます…… って、あれ? これ…… アーティファクトでは……。
全員「ファッ?」

どうも、この遺跡全体を覆うほどの強力な負のエネルギーの発生源はここだったらしい。現在はずいぶんと弱まったようだが、それでもなお強力な魔力を秘めているとのこと。
同調すると竜に強い恨みを抱くようになるようだが、放置しとくわけにもいかないので、ひとまずアマータが預かっておくことに。


なお、礼拝堂の外にはデニックスの父君の墓所もあった。
ダイアモンドの詰まった小袋とともに、家伝のショートスピア、評議員の証、そして一通の書状が残されていた。
書状は、ラケシスの支配を逃れた父が自分の子孫にあてて書いたもので、「評議員の証」は隠し持ち、いつか評議員としての票が必要となったときに使うべきこと、いつの日か子孫たちがラケシスの呪縛から逃れることを祈る、といったことが記されていた。


その後、モンスターの掃討を行いながら3週間ほどかけてメノルカの港町に戻る。
野良ゴブリンや混沌に侵されたグリフィンをぶっちらばしたり、石切場になりそうな山や鹿の多い森を見つけたりしつつ帰還。


3/19
メノルカに到着すると、副長のドームズが大慌てで出迎える。

ドームズ「2日前、本島から緊急招集の報が来ておりやす! それはそれとして、妙な書状が2通……」
デニックス「妙な書状?」

1通は、”多島海の真なる君主”が差出人となった手紙で、見れば「ラケシタニアの命運を握る会議」への招待状であった。

デニックス「……なんだこりゃ。」
ライルニス「でも、集合場所が本島になってますね……」
デニックス「……どういうことだ。またもめ事か?」

もう1通はヴァンパイアのラーディカからの呼び出し状だった。

デニックス「アッハイ。いきますいきます。こりゃなにをおいてもいかなければ。いかなければ。」*8


3/20
ラーディカの島に到着し、日暮れとともに会談。

ラーディカはすでに事態を把握しているようで、『多島海の真なる君主』というのは先代ラケシスに追放された色キチガイの長兄ヴェストラ・ラナシオンであるとのこと。現ラキシスの30才ほど年長らしい。
西方でホブゴブリンの国を手に入れ、いよいよ凱旋しようというところらしい。

とはいえ何を考えているかまでははっきりしないとのことで、”招待状”で集めた席で何を言うのか確認しよう、ということになった。


3/21
評議会のためラケシタニアへの航海中、近付いてきた船から「ラケシタニアの真の君主の使者が乗船」との信号が届く。
いくつかのやりとりの末、先方からの使者が乗船し、船長と会談。

「真の君主」がホブゴブリンを支配していること、現ラケシスには今の地位を降りて欲しいことなどを伝えられるも、その「真の君主」が本当に力があるか否かがわからぬ以上従うことができないことを伝え、別れる。

「真の君主」の思惑は?
ラケシスはどう反応するのか?
評議会はどちらに味方するのか?

以下次号!



*1:島本和彦著『炎の転校生』で敵キャラが使った必殺技。その正体は「敵にしがみついたら落ちるだけ」であり、「自分も壊れるけど頑丈さで勝っていれば(相対的に)相手がより壊れる」という原理に基づいた技である。
*2:Psychopomp。いちおうギリシャ語で「霊魂を冥界に運ぶ者」という意味があるもよう。PF的にはBes4から追加されており、『パーガトリー(煉獄)に住まう、死んだ全ての者に対する冷静な執事にして、記録者にして、ガイド』であるらしい。この手のクリーチャーのご多分にもれずムダに強い。
*3:実は彼らはその”職務”上、定命のものには不干渉という掟があり、人間をシアリングライトで襲った、などということが上司にばれるといろいろ面倒なことになることから、その口止め料もコミ、ということらしい。どこの世も宮仕えはつらいのう……。
*4:負のエネルギー放出相当。かつては遺跡のほぼ全域に放たれていたため、遺跡には生命はおらず、草一本生えていない有様だった。
*5:モンクのソモサンとしては、素手で非実体クリーチャーを攻撃するというのは、なんぼ気の力で攻撃が魔法武器扱いになってると言っても、それは気が進まないだろう。  
*6:なので、根本的な解決にはまるでなっていないw
*7:シャドウはCR3ながら非実体であり、接触攻撃で1d6の【筋】ダメージを与えてくるため、ヤバいときはホントにヤバい。特に【筋】ダメージによって殺されたPCは1d4ラウンド後シャドウとなる=通常の方法で蘇生できなくなるため、事故ったときのダメージが計り知れない危険クリーチャー。ご利用は計画的に。
*8:デニックスは赤竜ラケシス政権の影の立役者であった大魔導師にして吸血鬼であるラーディカに、”魔法的に”忠誠を誓っているため、命令に逆らったり背いたりすることが な ん と な く できない体になっている。

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