2014年1月28日火曜日

【PF】GM Q&A -幻術と罠って、いつ気付くの?-

Kingmakerリプレイ読んでくれてる人から質問があったので、ちょっと考察。

◇免責以下の文はいしかわの個人的見解を示すものであり、「こうしなきゃいけない」とか「これじゃないとダメ」とかいう気は毛頭ありません。またいしかわはルールに対して「参加者全員が納得できておもしろけりゃどう変更しようがかまわん」と考えてる派ですので、その辺をご承知の上で読んで下され。言い逃がれ


『セッションのマスタリングについて質問させて下さい。
一連の「Kingmaker」のキャンペーン・リプレイを通して気になっていたのですが、今回のようなヴォーダカイの幻像や潜んでいる敵、仕掛けられた罠をPCが気付くために行う〈知覚〉判定などはプレイヤーが能動的に宣言しなければGM側から判定を促すようにはマスタリングされていないのでしょうか?
プレイヤーのプレイ経験値にもよるとは思いますが、仕掛けられた罠などに対して事前にプレイヤーが警戒をして能動的に〈知覚〉判定などを宣言するのはなかなか難しいかと思います。
従って、PCに相応の能力を付与しておかなければ仕掛けられた罠などをほぼ作動させてしまう(引っかかってしまう)ことになるでしょう。
このような場合、GM側から事前に判定を促すべきなのでしょうか?』

ふむう。まあ、迷うよねえ。
特にプレイはじめて間もないころは「どこまでやっていいか」で困ることも多いかと。

ということで、まず幻術から。




基本ルール 魔法の章「セーヴィング・スローと幻術」http://www29.atwiki.jp/prdj/pages/431.htmlには以下のような記述があります。

セーヴィング・スローと幻術(看破) :幻術効果と遭遇したクリーチャーは通常、それを慎重に調べるか、何らかの形でやり取りがなければ、それが幻かどうか気づくためにセーヴィング・スローを行うことはできない。
 幻術に対してセーヴィング・スローに成功すると、それが偽りだと分かるが、虚像と惑乱は透明な輪郭として残る。
 セーヴィング・スローに失敗した場合、そのキャラクターは何かがおかしいと気づくことに失敗したわけである。幻術が現実でないという議論の余地のない証拠に出会ったキャラクターはセーヴィング・スローを行う必要がない。観察者が幻術を看破するのに成功し、その事実を他の者たちに伝えた場合、そうした者たちはセーヴィング・スローに+4のボーナスを得る。

この記述に基づくなら、受動的に幻を見破るのは難しそう、ということで、いしかわがGMのときは「ただ見ただけ」ではセーヴを許してません
でないと幻術の存在意義が大幅に薄まる、GM的に「面白いしくみ」を作りにくくなるってのもありますし、PL側も意志セーヴが高いってだけで緊張感がなくなっちゃうってのもあります。

ちなみに、シナリオの都合で「早めに見破って欲しい」ときは、PC(プレイヤー)に「疑い」をもって見てもらうため、わざとおかしなところを盛り込んでます。
たとえば、氷の洞窟の中に炎の壁がある(でも氷には影響がない)とか、兵士が群れなしてこっちに向かってくるのにある一点からは決して近寄ってこないとか。低レベルのシナリオなのにアイアンゴーレムとか超大型サイズのドラゴンが出てくるとかってメタ的な「おかしさ」を盛り込む場合もあります。*1



次いで、罠について。

罠についても、以下のようなルールがあります。

こちらも基本ルール、ローグの技の一つ http://www29.atwiki.jp/prdj/pages/36.html

罠見抜き(変則):この技を持つローグは、罠から10フィート以内を通りかかっただけで、即座に罠を感知するための〈知覚〉判定を行うことができる。この判定はGMが密かに行うべきである。

この技を持つローグは、当然「受動的に調べる」宣言が無くても、10ft以内に罠があれば感知するための判定ができます。*2

そして、この技(能力)があるからこそ、いしかわは持っていないPCに受動的な判定を許すことはありません
それを許すということは、この能力をスポイルする、もっといえば「受動的なチェックがしたいからこの技を取ったPC(PL)が損をする」ことになるからです。
プレイ前から「受動でチェックアリにするよ」などと知らせてあるなら話は別ですが、そういった事情がない限りは、いしかわは受動による判定を許すべきではない、と考えます。

なお、ときどき罠見抜きとかを取らずに「常に気をつけて歩きます」とか言い出すクソプレイヤーには、容赦なく「じゃあ10ft四方調べるたびに1移動アクションな」と言ってあげると良いでしょう。
たいていは黙りますし、そうでなくともクレリックなんかのバフ役からの抗議で中止させられますw*3

あと、罠見抜き持ってる〈知覚〉の高いPCがブイブイ言わせてるのに困ってる場合(Kingamakerにおけるマルルイスのように)は、罠を「天井が開いて部屋を川の水で満たす」「発動したら60ft内に広がるガス」「巨大な丸石が転がってくる」とかの、10ft以内の受動〈知覚〉では見つけられない罠にするという手があります。
パスファインダー・モジュール三部作の一作 ”City of Golden Death ”でも「12ft先の床が爆発してドロドロに溶けた金が吹き出す」みたいな罠があるので、たぶん世界中のGMが困ってるもんなんだろうとは思いますがw

 ただ、この種の罠ってのもやり過ぎるとやっぱりいろいろアレなんで、やるときは「見た目にわかりやすい仕掛けがある」とか「これくらいの前振りあったら疑ってよ」みたいな、「PLが理不尽と思わない仕組み」を作っておくのがよいかと思います。

逆に、質問にもあったようにローグが初心者の場合はどうするか、ですが。

ぶっちゃけると、「ルール上決まってることだから(ここ重要)、罠見抜きを取るよう勧める(その場でPCの改訂を許す)か、扉等がある度にチェックしてもらうしかない」と思います。
まあ「ホントは罠見抜きって技があって~」という説明とともに特例で許す、とかでもいいかもですが、基本的には『ルール』って土俵からはなるべく出ないようプレイする方が、最終的に遊びやすくなると思います。経験上。

というのも、『ルールがしっかりしたものだ』という土俵が揺らぐものだと認識してしまうと、以降のキャラメイクやプレイの上で、何をものさしにすればいいのかわからなくなり、頭ひねって考えた行動やコンボが「ルールにないから」と却下されてつまんなくなる、なんてことが比較的容易に起こっちゃったりするんですね。経験上。

ただ、なんの予告もなしに罠発動して即死、なんて事態を避けるために、たとえばその罠にかかって死んだ”先客”を置いておくとか、逃げるNPCや敵がそのトラップに引っかかる、なんてシーンを入れてやると、罠の存在を意識させるとともに、危険性を知らせることができるかと思います。
もっとダイレクトに”先客”(ないしそこの住人)が『ここから先 罠注意』と(かんたんな)暗号で書いてあるとか、地面の足跡がそこだけ付いてない、なんてのでもいいですが。
とにかく、なにかしらの前兆とか注意喚起があれば、プレイヤーが感じる理不尽さは大きく軽減できるので、アクション映画とかを参考にいろいろ考えてみると楽しいかと。



とまあ、こんな感じでよろしいでしょうか?>質問くれた匿名さん

ほかにもなんぞ質問がある方は、コメント欄でもメールでも(u1ro.ishikawa[あっとまーく]gmail.com)どんぞー。
答えられる限りでお答えいたしますー。



*1:もちろん、これをさらに逆手にとって「生物だけに影響のある魔法の炎」とか「突撃待機をする兵士の群れ」とか「本当にオーバーパワーなクリーチャー」を置くなんてこともあるんですが。PCを殺せるとか何とかじゃなく、PLに「やられた!」って言わせるような、こういうギミックこそがGMの”戦い”だと思うんですよ。ええ。
*2:なお、同様の能力としてはドワーフの「石工の勘」とかがあるので参考まで。ドワーフ強ぇ。
*3:能動的に〈知覚〉をするには1移動アクション。http://www29.atwiki.jp/prdj/pages/113.html#Perception ところで、10ft四方を調べるのに1回の〈知覚〉ってルールがどっかにあったと思うんだけど、どこだっけ? 3.5eだけ?

3 件のコメント:

梅酒 さんのコメント...

罠見抜きや永続化アーケイン・サイトって便利で強力ですけどシンボル系には気が付いた時には手遅れだったりしますよね、幻術は能動的宣言がなければやり取りが無いしDMから判定を促すことが無いのは他の全ての罠もそうだと思います、バフ呪文の持続時間と相談してPTの方針を決める話ですね。
 ただ幻術はデテマを垂れ流せるPathfinderではPTが調査出来る状況でやる意味が実質ないと言うか、魔法的オーラで幻術を感知されてはやり取りを認める云々以前にPTが警戒するのでもはや意味無いのが・・・

いしかわ さんのコメント...

>幻術はデテマを垂れ流せるPathfinderではPTが調査出来る状況でやる意味が実質ない

いやいや、スクールがわかるには3R必要ですから、ダンジョン全体に保護魔法がかけられてるような状況なら幻覚の壁も十分役立ちますよ!
敵の眼前で3R余計に使ってくれるならそれはそれでよし!
あとはミスディレクションとかの騙す系の術使っとくとか!

こういうとこでPCの上を行ってPLびっくりさせるのがGMの醍醐味ってもんですよ!

匿名 さんのコメント...

質問させていただいた者です。

拝読しました。
大変ご丁寧に解説していただきましてありがとうございます!

「幻術とのやり取り」「罠見抜き」などのルールを基本にしてプレイヤーとコンセンサスを取っておくことや、「罠の存在を臭わす分かりやすいサイン」の演出を行うテクニックなど、大変分かりやすく勉強になります。
石川さんが解説の中で触れられているように「プレイヤーが理不尽と思わない」ことが重要だと思います。

大変参考になりました。ありがとうございます。
また気になることがありましたら書き込ませていただきたいと思います。
今後のKingmakerリプレイの続きを楽しみにしていますね(^^