2013年6月9日日曜日

アルティメット・キャンペーン ショートレビュー

 ”アルティメットキャンペーン”という書名から、GM向けの本ってカンジがするかもだけど、実際にはPLにも役立つ情報がかなり掲載されている。

 特に、自分のキャラっていつも同じカンジだなーとか、なんかいつも似たようなことしてるんだよねーとか、キャラの背景考えるの苦手だなー、なんて人には良い参考書になることうけあい。
 PC、NPCを問わず、キャラクターに厚みを持たせたい、なんてときに使える一冊です。



ではその中身がどんなかってーと。




本書は主として以下の4章で構成されてます。

■キャラクターの背景
 キャラクターがどんな半生を送って来たかについての例示がたくさんの章。
 家族はどんなか、種族は、宗教は、魔法との関わりは……など、キャラクターの背景に関するいろんなアイデアを提示してくれる。
 もちろん伝統の『ランダム背景決定表』も完備! ROC(*1)システムの導きにしたがって、さあ君もレッツトンチキ背景!
 キャラクタークラス別の背景なんかもあるので、ステロタイプなNPC作る時には参考になりそう。

 最後の方にある「ストーリー特技 Story Feat」は新機軸。
 通常の特技同様、取得すると利益(と時々欠点)が得られるんだけど、それぞれに『ゴール』が設定されてて、それを達成すると得られる利益が大きくなる仕組み。
 例えば《解放者liberator》なら、「囚われているか奴隷になってる者を率いている時には攻撃、ダメージロール、技能に+1ボーナスが乗る」んだけど、ゴールである「200人の奴隷を解放する」を達成できれば、半径20ft内の仲間全員に特技のボーナスを与えたり、120ft以内の奴隷に1/2キャラクターレベル分の一時hpを与えたりできるようになる。
 この辺、JRPGにもあるロールプレイ補助的な仕組みで面白いし、単発セッションでも使えそうなんでGMの人はぜひ。

■ 余暇
 冒険と冒険の間にできることを規定したルール集。
 建物建てたり、酒場を経営したり、ギルドを運営したりとかできる。
 建物ルールはリソースをどう使ってどんな機能の部屋を作るか、みたいなサンプルがようけあるので、どうぶつの森ごっこが捗ること請け合いだ。 
 建物や店、組織を維持するのに必要な人員とそれにかかる経費も決まってる。
 もちろん、道場やサウナ、拷問部屋など、日常生活に無くてはならない部屋や、それに必要な人員のデータと必要経費なんかも設定されてるのでふだんの運営もごあんしんください。

 kingdom運営ルールを個人~パーティレベルまでおとしたカンジかな。もちろんいらんことが起こりまくるランダムイベント表も完備
 もちろん休む、呪文書の呪文を増やす、マジックアイテムを造るなんていつものアレも出来るほか、セッション休んだ分の経験値を稼ぐ」なんてオプションも。
 個人的には、これが公式に用意された意義は大きいと思う。いやマジで。


■ キャンペーンシステム
 この章はGM向けアイデア集であり、PL向けデータ集であり、ってカンジかな。
 普段の冒険のちょっと外でしてること、例えば交易のような経済活動だとか、名声や血縁といった人との関連、税や名誉といった社会的な関わりなど、ルールというより設定とかセッティングと関わる方法が扱われている。
 キャンペーンをやる上で、ゲームを単なる戦闘ゲームにl終わらせず、「その世界に生きてる」PCを遊びたい、といった向きには楽しい章。
 特に、箱庭型のキャンペーンで遊ぶときなんかは前述の「余暇」とともにこの章のルール混ぜると楽しそう。
 みんな大好き再訓練ルールもあるよ!


■ 王国と戦争
 Kingmakerキャンペーンセッティングでフィーチャーされた「国造り」ルールがリファインされて登場!
 まあ、要するにまよキn(ry)

 旧作と変わったのは、国の役員に配偶者 Consort、相続人(王子?)Heirなんかが規定されたり、国の規模に応じてBPの価値が変わったり、王国が大きくなるといっぺんに開拓・建設できる数が大幅にふえたりと、長期にわたって遊ぶための変更が施されている点。この辺、kingmakerでの経験が生かされてるカンジで非常に好印象。
 ほかにもダンスホールとか軍事大学みたいな新しい建築物が増えてたり、ランダムイベントが強化されてたりとかのいらん強化が山ほどされているのはお約束。
 まーでも、役員が増えてるとこなんかは前述の「余暇」「キャンペーンシステム」ルールに従ってNPCを雇うきっかけとして使うこともできそうだし、GMが国、PCが組織(ローグギルドや騎士団、なんなら冒険者ギルドでもいい)みたいなプレイをすることもできそう。
 ほかにも、みんな大好き大規模戦闘ルールもリファインされて再登場。
 1人から軍の戦闘力を計算できるようになってて、強い生物(トロルとか)で隊を編成したときの戦闘力も計算できるようになってるから、PCパーティVS悪の軍勢みたいなことも可能だ! 
 まあ人数少ないと大抵負けるけどな。ドンマイ。

***
 とまあ、こんな具合にGMにもPLにも楽しい一冊です。
 中でも、kingmakerとかこないだ出たPFMMO世界セッティング Thornkeepみたいな箱庭型のプレイに使うのが楽しそうだなー。やっぱり。
 
 データ以外の部分も多いので、他のゲームやる時とか創作モノやるときのネタ本としても使えそう。  

 とまあ、こんなサプリ。
 興味のあるヤツは円安が進む前に買っとけ!
 いろいろ捗ること請け合いだ!




*1:ROC、すなわち「ロールオアチキン」。君は『ランダムで振るか、それともチキンか』? 男なら、どっちを選ぶか、言うまでもないよな! 【そして増え続けるトンチキ背景キャラクター】

2 件のコメント:

りょう。 さんのコメント...

これは本当に面白いサプリですよね(*´ω`)

いしかわ さんのコメント...

そうですよねー。
GMGも同じような傾向のサプリですが、こっちはキャラの内容に特化してる分深いっつーか。

書かなかったけど、クラス別の経歴とかも面白いですよね-。