敵が拠点を構える島に潜入した一行だが、早速登場した低CRの割にえげつない能力持ちのクリーチャーにウンザリしつつ、とるもとりあえずライルニスの魅力ダメージが回復するまで森に潜伏する日々。
船長 デニックス スレイヤー PL扇
主計町 アレクサンドラ ハーフエルフのアルケミスト PLL-Heart
航海長 ライルニス エルフのウィザード PL備前屋
砲術長兼船医 アマータ ハーフエルフのクレリック PLうら
書記 ソモサン モンク PLほりび
帆布長 カガン ノームのドルイド PLいしかわ
ドームス(NPC) 甲板長。今回は港で船の番。
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ライルニス「ふう、ようやく声が出るようになったぞ」*1
ということで、戦力を回復した一行は戦術目標である敵の砲台に向けて進軍開始。
とはいえ、島をほぼ横断する形の移動になるため、濃い森を突っ切って行かねばならない。人の手の入っていない森は歩きにくく、あちこちから獣の声も聞こえる。
しかし、幸いにしてランダムエンカウントはなし。
森を進むうち、進行方向から『コーン、コーン』という、槌音とも斧の音とも取れるリズミカルな音が聞こえてくる。
デニックス「そろそろ奴らの勢力圏か。音を立てるな」
アレクサンドラ「木を伐る音…… 造営ですかね」
ソモサン「奴らのやり方なら、伐ってるのは奴隷とか捕虜じゃないですかね?」
カガン「おお、なら<隠密>得意な人に先行してもらおう。誰だ?」
俺かよ。*2
納得いかねえとかそういやこのパーティローグいねえじゃねえかとかぶつぶつ言いながら音源に向かって忍び寄る。
やがて、森ががやや開けてくるかと思うと、そこかしこで作業をしている男達が見える。後ろの方では武装したターク人達が酒を飲みながら男達に作業を命じている。
GM「……手前で作業している男に、君は見覚えがあるよ」
カガン「……このパターンは……もしや…… そっと近寄る」
GM「うん、アドルフォだね」
カガン「……またお前か」
GM「彼は気づかないふりをしながら、必死で君に近くに来るように目配せするよ」
カガン「や、帰るわ」
アドルフォ「(小声で)ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!」
事情を聞いてみると、どうやらタークがここに逃げ込むちょっと前に捕まり、そのままここで足かせを付けたまま奴隷労働に就かされているということのようだ。
今は決戦に備えて木を切り出し、柵造りや砲台の修繕をやらされているとのこと。
カガン「お前んとこの親*3も大変だな…… なぜか人ごととは思えんわ……」
アドルフォ「同じ船の仲間達も大勢働かされている! 俺たちが一斉に蜂起すれば、ヤツらとて打ち破れるに違いない!」
カガン「まずそのムダにポジティブな人生観を正せ。話はそれからだ」
アドルフォ「いやいやいやいや。あいつら、本国からの援軍を待てるって話だし、早めに解決しないとマズイって!」
カガン「うーん、まあ、それが今回の任務だからなあ…… まあ、ちょっと待ってろ」
カガンは一行のところへ戻り、見てきたことを話す。
アマータ「急がないとマズイのはまちがいないですね」
アレクサンドラ「でも、アドルフォとかホントに役に立つんです?」
カガン「まあ、立たないよねえw」
デニックス「だな。作業している場所を迂回して、砲台に近寄る方が先かな。助けるのはそのあとで」
……まあ、リーダーはときに非情でないとな!
ということで
途中、木を切る音のリズムが海戦のときの『船隊集合』の拍子に変わったりしたけど、
森の切れ際まで移動すると、砲台の設えられた2つの岬と、それに守られるような軍港、そして古い砦にターク様式の補強のなされた屋根や門のある砦が見える。
カガン「うーん、砲台までちょっと距離があるねえ……」
デニックス「見つからずに行くのは難しいかなあ……」
アレクサンドラ「暗くなるまで待ちます?」
ソモサン「いやー、ターク人暗視持ちでしょ?」
アマータ「それに作戦決行今日の日中ですよ!」
と、行き詰まりを見せつつあったところに、木材を満載した荷車を押す奴隷の一団が森の道をゆっくりとすすんできた。
カガン「あ、アドルフォだ」
アドルフォ達もこちらに気づいたようで、道からややそれながらゆっくりとこちらに近づいてくる。
がたん。
わざと轍を踏み外し、荷台のバランスを崩して木材を振り落とす。
まわりの者が慌ててそれを拾い集めるスキに、アドルフォがこっちに近づいてくる。
アドルフォ「なんだよ! さっき呼んだのに!」
カガン「ああ、ぜんぜんきがつかなかったよわりいわりい(棒)」
アドルフォ「仲間にはお前達のことを話してある! これから暴れるんだろ? 俺たちもそれにあわせて暴れるよ!」
デニックス「ぉ、ぉぅ。……それは船団の攻撃が始まってからでいいんだけど、それより今をなんとかしたいんだけど……」
アドルフォ「ああ、砲台に行きたいのか。なら俺たち、上の砲台に木材運びに行くから、それに隠れて載ってけよ!」
ということで、木を積み直すふりをしながらPC一行を隠し、荷車はガタゴトと坂を上がっていく。
途中警備の兵士に何度か呼び止められるも、アドルフォ達の<はったり>が奏効したか、無事に湾の北側の砲台に到着できた。*4
砲台は2階建てで、1回に大砲4門と砲手9人、2回には鉄砲の射手が3人詰めている。
みな帯剣しているものの、総じて軽装で、術者らしい者の姿も見えない。
PCたちはいっせいに荷車を飛び出し制圧に向かう。
なんでかパーティ1のACを誇るアルケミスト アレクサンドラが素早く2階に上り、銃手に酸爆弾をたたきつける。
砲撃長「人間ども、どこから来やがった!」
2本のシックルを構える敵のリーダーにライルニスのカラースプレーが決まり、周辺の砲手もろとも朦朧化する。
GM「ああっ、1Rかけて両手に持った武器が……」*5
カガン「やかましい! 犬に噛まれて死ね!」
サモンネイチャーズアライⅠでドッグを砲撃長の後ろに召喚して挟撃を提供しつつ、自分はプロデュースフレイムで攻撃しようとするカガン。
カガン「……ん? ちょっと待て。ここ砲撃矢倉だよな? てことは火薬は……」
GM「ちっ、気づいたか。こことここに黒い粉の詰まった樽があるよ。ここに火が入ったら誘爆するからね」
カガン「あっぶねえ! 外出て攻撃する!」
装備の差と奇襲という天の利を活かし、終始押し気味に戦闘はすすむ。
一人2階を支えていたアレクサンドラが敵のクリティカルに倒れる激戦*6のなか、粘る砲撃長にカラースプレーを連発し、デニックスによる壁方向への突き飛ばし(通称壁ドン)で姿勢を崩させて袋だたきにするという主人公らしからぬ攻撃で、どうにか砲撃長を倒せる。
そう思った瞬間。
砲撃長はにやりと頬をゆがめると、懐から錬金術師の火を取り出そうとする。
ソモサン「マズい! 機会攻撃を! 自爆する気だ!」
全員「!」
攻撃の届く3人の機会攻撃がなんとか命中し、かろうじて倒す。あっぶねえ。
デニックス「よし、砲を向こう岸に向けろ!まずはあっちの砲台を叩くぞ!」
荷車を引いてきたアドルフォとその仲間達に手伝わせ、砲撃準備開始。
幸いこちらの異常に気づいている様子のない対岸の矢倉に向け、設置されていた4門の大砲全てを発射する。
それに呼応して、沖で待機していた艦隊が一斉にこちらに向かってこぎ出し、援護射撃を開始してくれる。
思わぬ方角からの砲撃に、はじめは何が起こったのか理解していなかった対岸の砲台も、3射目あたりになってこちらの砲台の異常に気づき、撃ち返してくるようになった。
しかし、先に打ち始めているぶん、こちらの方が狙いがついている。*7 10R目までに900ダメージを稼ぎ、矢倉を半壊させることに成功。
誘爆を恐れてか、矢倉から兵士達が逃げ出すのが見える。
と同時に、砦でも異常に気づいたらしく、戦備えの兵士達が港に向かって走り出す。
数は数百。
そしてそのうちの一部がこちらに向かって走り込んでくるのが見える。
40人ほどか。
GM「こっちに来るまで……10Rくらいかね」
デニックス「さあ、これからが正念場だ!」
乗ってきた荷台を転がして簡易のバリケードとしつつ、大砲を走ってくる敵兵の方に向ける。
アレクサンドラ「こういう情況じゃ大して当たらないだろうけど、やらないよりはマシですよね」
ライルニス「私、呪文がほとんど残ってないので砲撃くらいしかやることないですw」
敵が一散にこちらに向かって駆け寄ってくる。
何度か大砲が火を吐くも、敵は吹き飛ばされながらこちらに向かって走ってくる。
装填に時間がかかる大砲には、こうして距離を詰めるのが一番効果的であることを、陸軍国であるタークの兵士達はよく知悉していた。
そんな中、カガンは櫓の2階にあがり、じっと走りよる敵との距離をはかる。
そして敵があと10秒ほどでこちらに到達しようとする瞬間。
カガンは手に宿した炎を、坂の途中に放棄された荷車に向け放った。
カガン「当たってくれよ……(コロコロ) よし命中!」
GM「ん。では、荷車に積まれた火薬樽に引火し、半径30ftの範囲に10d6の[火]ダメージ」
カガンは火薬樽を荷車に隠し、敵がまわりに集まったころを見計らってプロデュースフレイム呪文で爆破したのだ。
幸い作戦は図にあたり、前を走ってきた軽装備の兵士や、それを指揮しているらしい重装備のものを大勢吹き飛ばすことに成功する。
しかし、後ろの方の指揮官やその親衛隊とおぼしき手練れ達は素早く兵をまとめ、さらに進撃してくる。
カガン「来させるかよ」
カガンは地面に手を付き、地脈の力を呼び寄せると、集めた霊力を坂の下の方に向けて一気に放つ。
ホブゴブリンの足下から薄い輝きを帯びた芝草が伸び、足をとらえてその場に縛り付ける。
ドルイド1レベル最強呪文との呼び声も名高いエンタングル呪文である。
カガン「3.5eほどは保たんぞ!w 足留めてる間に各個撃破しろ!」
はじめの爆発で半分を削り、エンタングルで半分弱を絡め取ることに成功したカガンはすでにできることも少なく、ひたすらプロデュースフレイムを打ち続ける装置と化す。
前衛達は互いに位置を調整し合いながら、少しでも自分たちに有利な位置が取れるよう攻撃を続ける。
アマータ「やむを得ん……秘奥技、”暗黒の波動!” ここまでの敵全員にネガティブエナジーで6点ずつ」
GM「ちょwww 負のエナジー放出かよwww」
アマータ「まあ、ネクロマンサーですのでw」
全員が持てる限りの手を尽くし、敵を押し戻そうとするも、しかし多勢に無勢、だんだんと押し込まれていく。
デニックス「……まずいな、砲台に入って籠城するか?」
ソモサン「デニックス、危ない!」
一瞬の隙を突いて突っ込んできた敵の下士官が振るった長剣がクリティカル!
既に多くの傷を受け、ようよう剣を振るっていたデニックスは、その一撃で絶命した。
はずだった。
しかし、まわりの者はデニックスの首飾り-赤竜の印がぱっと瞬くように輝くと同時にデニックスの全ての傷が癒やされ、倒れ伏すはずのデニックスはそのまま剣で下士官を切り倒す!
全員「?!」
デニックス「……赤竜様に、助けられた…… そして、なぜだか今日から上納金を2倍払わないといけないような気がするぜw」
hpが全快したデニックスが支えることで、押されつつあった前線もどうにか持ち直し、さらには港に入ってきた遊軍の船がこちらに向けて射撃を始めてくれた。
これにより敵の指揮官が倒れ、ついには敵部隊を追い返すことに成功した。
カガン「あっぶねー。呪文も打ち止め、これで下士官より強そうな指揮官来てたら終わってたかもしんねえなあ」
港の方は我が船団の砲撃により制圧され、地上の施設も奴隷となっていた人間達の抵抗によりひとつずつ解放されていく。
戦い済んで、日が暮れて。
タークの前線基地はここに潰え、残された船や財物は古式に則り海賊間で山分けされることとなった。
今回は特に優れたはたらきがあったと言うことで、デニックスには崖の上での戦利品(地味に高品質の武器やポーションが多数見つかった)のほか、財宝1万gpとガレー船1隻(市場価格で1万gp程度)を分配されることとなった。
ちなみにアドルフォ達にもガレー船と食料が与えられ、凪ガ浦に自力で帰ることになったそうな。
カガン「……またどこかで捕まって俺らに助けられるような気がする……w」
結果的に死人も出ず、戦力増強もできてひとまずめでたし!
というあたりで次回に続く。
*1:前回エンカウントのクラゲの毒は能力値ダメージとともに『口を腫らせて声を出なくする』とかいうクソ効果がついており、2レベルPCの我々には能力値回復のすべは『寝る』しかなかったのだった(前回までのあらすじ)
*2:小型、【敏】高い、鎧着てないなどの好条件が積み重なり、なんでか一番<隠密>高くなってたよ! くそ! なお、、ホントならドルイドらしく動物に変身して行きたいところだが2レベルドルイドにそんな能力は備わっていないのであった(完)。
*3:以前やってたキャンペーン"牧場物語"の主人公 凪が浦の領主 ジョバンニ。カガンはなぜか、一度会ったきりの彼に強力なシンパシーを抱いている。なぜか。 http://4thcage.blogspot.jp/search/label/%E7%89%A7%E5%A0%B4%E7%89%A9%E8%AA%9E
*4:途中、オウムを船団に送り、攻撃タイミングが合わせられるよう調整したりもしてるけど割愛。
*5:敵のリーダーはシックル二刀流(たぶんレンジャー)で、武器の装備に2回の移動アクションが必要なため、武器の持ち直しが面倒。なのだが、朦朧化すると手に持ったものを落とす効果があるため両手とも武器がなくなることに。カラースプレー強ぇ。
*6:ホブゴブリンファイターのクリティカルで21ダメージ。まあ、2レベル術者にはちょっと無理な数値だよねー。(HP-2)
*7:大砲は自分が動いてなければ、同じ箇所を狙うとき、R毎に+2ボーナスを得ます。打ち続けるとだんだん当たってくる、という攻城兵器っぽさを表現したルールですな。
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