4708年ロヴァググの月(9月)下旬
【Behind the GM Screen】
さて、牡鹿卿を倒し、”失われし地”ストーレンランドの脅威を平定したPCには、剣卿(ソードロード)の布告どおり貴族の地位と封土が与えられることになった。
Kingmakerキャンペーンではこの展開(シナリオシリーズ#2/#6)を支えるために、
で、
これにPCないしNPCを当てると、役職ごとに決まった能力値をボーナスとして統治に役立てることができるようになっている。
つーか役職を付けないことによるペナルティがえらい大きいので付けざるを得ないってのが正味のところだが。ドンマイ。
これらのボーナスと、統治の方針や国の祭の回数、国に建てた建築物、そして各種イベントをベースに、国が安定してるかどうか、上手く収入が上げられたかどうかや治安が維持できたかのチェックが行われるというわけだ。
PC間の話し合いにより決まった役職割り振りは以下の通り。
領主 :アルティン=ゲール男爵
評議員 :”オレグの妻”スヴェタナ(NPC)
将軍 :”一回堕ちた”アキロス(NPC)
外交官 :”筋肉外交官”アイリス
大神官 :”エラスティルの神官”カヴケン (NPC)
宮廷魔術師:”デズナの神官”マーティン
執行官 :”何でも食べる”マルルイス
処刑官:”アホの子”オークス(NPC)
諜報長官:”キルマーク製造器”リルカ
財務大臣:”商人”オレグ(NPC)
守備隊長:”ファランクス兵(でも一人きり)”ジュゼッペ
***
ついに領主となったアルティン=ゲールと愉快な仲間たちは、建国の地としてタスク湖と王国の重要な河川交通をつなぐシュリーク川の分岐点-先日攻略した牡鹿卿の砦が建っていたところ-を選んだ。
シュリーク川は南の森--その彼方にはこの地を奪い合う敵国リバーキングダムがあるほか、トロールをはじめとする危険な生物も多く棲み着いており、これらの脅威から国を守るという暗喩を込めて”シュリークウォール”と名付けられた。
国を切り盛りしながら冒険をすることになったPCたちは、今日もストーレンランドの探索に精を出す。
領主・為政者であるPCたちはシュリークウォールに移住してきた住民たちの「漁場に出る大きな亀を何とかして欲しい」「子供が行方不明になった」「魔獣ウォーグの群れのボス ノーザンハウルを倒して欲しい」などといった陳情も聞き入れなければならない。たいへーん。【他人事】
4708年ラマーシュトウの月(10月)1日
統治ルール上、自国の領土を拡張するためには探索を済ませなければならないということになっているため、シュリークウォール周辺から探索を開始。
まずは街から東側の丘陵地を探索することに。
途中、ランダムエンカウンタで大きな地蜘蛛に襲われてアイリスの中の人が2回も1を出したりして「ああ、平常運転ですね」とか何とか言いながら東進していくと、なにやら甲高い女の子の悲鳴が。
見れば低木の茂る丘陵地の谷間を走り去る黒い狼のようなものが。
その口元からはちいさな腕がぶらぶらと力なく垂れ下がっている。
アルティン「ちょw 追うっつーの! 全力で追うっつーの!」
あわてて乗騎で後を追うと、件の"狼"は丘陵地の隙間にできた窪地で立ち止まり、咥えていたもの-わらと布でできた子供の人形-を吐き捨てると、口元を笑みの形に浮かべながら『マヌケどもめ!』とせせら笑った。
アルティン「…………だまされたー!」
いつしか窪地のまわりの土手には数匹の狼-赤い目を、邪悪な意志に炎のように輝かせていた-と、それらの主らしき、馬ほどもある白い大きな狼とが取り巻いていた。
白い狼「ククッ、愚か者めが! 死ねい!」
白い狼はPCたちに駆け寄ると、その口から凍てつく吹雪を吹き出す。
そのあとを追って、PCを一人ずつ屠らんと駆け寄ってくる黒い魔狼ウォーグ。
リルカ「じゃ、とりあえず白いのに『まどろみ』で」
GM「……ですよねーw」
そして、直後にGMに振られたD20が、”5”を上にして回転を止めたとき--
周辺の猟師や旅商人の恐怖の的であった白き魔狼”ノーザンハウル”は滅んだ。
なんだよDC19って! ギャーワー!!
なお、ブレス一発撃ったほかは眠る以外のことを一切しなかったノーザンハウルはその場で毛皮を剥がれ、できたばかりの城の応接間の小粋なインテリアになるという数奇な運命を辿ることに。
他のウォーグ? 逃げたっつーの! ぬはあ。
4708年ラマーシュトウの月(10月)4日
さらに東方の探索を続ける一行は、シュリーク川沿いの丘に墳墓の入り口が隠されているがあるのをマルルイスが発見する。*1
コウモリの群れを追い払いながら古い時代に作られたとおぼしき通路を進むと、やがていくつかの玄室を結ぶ広間に出た。
奥に続く通路に進もうと一行が足を踏み込むと同時に、得体の知れぬ冷気と、地の底から体を揺さぶるような低いうなり声が響き、がしゃり、がしゃりという無数の足音がそれに続いた。
左右の玄室から、全身を鎧で覆った戦士たちがこちらに向かって来るのが見えた。
鎧に彫刻された紋章や象眼、埋め込まれた貴石などから、彼らがかつて身分の高い戦士や騎士であったろうことは容易に見て取れた。
しかしその身は朽ちて骨だけとなり、うつろな眼窩に宿るくらい炎だけがぎらぎらと揺れて、彼らの主の墓所への侵入者であるPCたちに憎しみとともに向けられている。
対するPCたちの行動は素早かった。素早くマルルイスとジュゼッペが左右に分かれて敵を抑え、後衛たる術者たちがその背後から範囲魔法やエネルギー放出で死者たちを塵へ帰す。
一体、また一体と死者が塵へと帰る中--広間の奥で、ごとり、と重いものが地面に落ちる音と、それに続いて鎧を着た何者かが起き上がる物音が聞こえる。
玄室から現れたのは、闇に不気味に光る目を輝かせた不死の戦士だった。
そいつはぎくしゃくとした動きで広間に歩いてきたにもかかわらず、PCたちを目の当たりにすると流れるような所作で剣を構え、PCたちに襲いかかる。
アルティンは左右の不死の兵を2人に任せると、新手の戦士に相対する。
上質の鎧と、魔力を帯びているとおぼしき剣で武装した死せる戦士は、手にした盾でやすやすとアルティンの攻撃をはじき、受け流すと、アンデッドとは思えぬ流麗さで剣を繰る。
リルカ「まずい! そいつ、ケルン・ワイトよ! そいつに斬られると魂まで傷つくよ!」*2
敵が眠らないために能力の多くをスポイルされたリルカが叫ぶ。
しかしそんな叫びもむなしく、戦士の一撃を受けるアルティン。
斬られた肩口から、血液とともに気力が失われ、アルティンは思わず膝から崩れ落ちそうになるのを懸命にこらえなければならなかった。
しかし、無慈悲にも死せる戦士の剣はアルティンをさらに斬り、その都度アルティンは自らの生命力が失われていくような感覚を味わわされる。
懸命に攻撃を返すもののその優れた鎧と死せる戦士の盾さばきにはじき返され、有効打を与えられない。*3
だが、骨の兵士を倒したマルルイスとジュゼッペが加勢し、後衛陣が呪文や呪術、呪歌で攻撃を強化、さらにはマルルイスの正のエネルギー放出により、古代の戦士はついに力尽き、永遠の眠りについた。
アルティンから2レベル分の生命力を吸収して。
GM「…………ちっ、2レベル分だけか…………1人くらいはワイトに変えてやりたかった…………」
アルティン「うるせえ! ギャーもう寝る!」
問答無用でレベルが下がっていた昔のルールに比べると、生命力吸収はかなり優しくなっており、セーヴに成功すれば負のレベルが残ることもない。
高いセーヴを利したアルティンは翌日二度のセーヴを通す。
GM「……ちっ」
さて、ワイトが持っていた剣は強い魔法のオーラを放っており、さっそく鑑定*4したところ、古くから”妖精殺し”として知られるロングソード+1・フェイベインだった。*5
ロングソードを使っているのがアルティンだけであったこともあり、剣はアルティンのものとなった。
その後、シュリークウォールに戻り補給を行った後、今度は街の西側を探索。
森の川にはまって動けなくなったノームたちの荷馬車を助けたりしつつ、西に向かって版図を広げる。
そして10月後半となり街の運営フェイズへ。
幸い、牡鹿卿がいた土台をそのまま利用できることから建築費を節約できることがわかったため、最初の建築物として”ウォール”の名にふさわしい城塞が街の中央に建設された。
これのおかげで人口が1000人増え、治安や経済活動は活発に、人心も安定した。*6
また、街に移り住んだ職人が作った芸術品が評判を呼び、遠くブレヴォイからも見物客がやってきて、多くの富をもたらした。
4708年ネサスの月(11月)1日
先月に引き続き、街の西にひろがる森を探索するうちに、森に隠された小さな泉のほとりで言い争う木こりの一団と出会う。
様子をうかがうに、どうも木こりが2人、「これ以上池のまわりの木を切るべきではない!なぜなら切るべきではないからだ!」などと主張しはじめ、他の木こりの邪魔をはじめたようだ。
アルティン「全力で自己否定かよ! ていうか騙されてるよね!?」【〈真意看破〉成功】
2人が何者かに操られていると察した一行は、池に住む精霊メリアンスがその背後にいることを知る。どうやら自分の住処のまわりの木を切られたメリエンスが怒って2人をチャームし、作業を邪魔していたらしい。
PCたちはメリエンスと木こりの間に立ち、「切った木は持ち帰っていいけど、これ以上は切らないこと、PCたちは切られた木を再生すること」を条件に両者を和解させる。
切られた木に関しては、森の西側に住むドライアドのドルイド ティレシアが木を蘇らせることのできるメダルを持っているということで、森の調査がてらもらいに行くことに。
2日かけてティレシアのもとに到着・謁見を果たし、メダルがほしい旨を伝えると、代わりに森を荒らし回る邪悪な木の精サイズツリーを倒してくるよう命じられる。
ティレシア「あの邪悪な樹は”黒の女王”、ニンフの魔女ニリッサの息がかかっていると思われます。どうか、気をつけて」
サイズツリーはその植物そっくりな外見を利して(まあ、植物なんだけど)、PCたちを待ち伏せ、その大鎌のような枝での奇襲により乗馬3頭を屠るも、アルティンの踏ん張りで何とか戦線を構築したPCたちが順調に取り囲んで袋叩きに。
その後、サイズツリーの幹に噂のニリッサの紋章を見つけ、微妙にイヤな気分になってみたりしつつ。
ティレシアのところに戻ると、森を長年守ってきたドライアドは非常に喜び、約束のメダルとともに、領主であるアルティンとの永遠の友誼と、アルティンが森を守る限りの森の安寧を約束してくれた。*7
また、メリアンスにメダルを渡すことで、池のまわりの木を復活させることにも成功、水の精であるメリアンスからも、川や湖まわりの安寧への助力の約束を得た。*7
街に帰還後、ちょうど月中を過ぎたので、そのまま11月の統治フェイズへ。
街道を北方に延ばしつつ、街道沿いに農地を開拓する。さらに街に技術者を招聘し、鍛冶屋を建設した。
領土が拡張され、人口や産業が着々と増えゆく中、そうした様子を聞きつけてきたのか、大金持ちが突如シュリークウォーに現れ豪遊していったおかげで、街は好景気に沸くことになる。*8
というあたりでキリよく終了時間。
以下次号-。
*1:普通、森のイベントで場所のヒントがなければわからないはずの古墳だったんですが、マルルイスが〈知覚〉+16とかレベル3としてはかなり極まった値を叩き出してたせいで発見されることに。うっへー。
*2:ケルン・ワイトはワイトの亜種で、通常はSlumでしか行えない生命力吸収攻撃を手持ちの武器を通じて行えるというワイト界の超エリート。いわゆる「塚のワイト」をイメージしたものらしい。オーガのケルンワイトに間合い武器持たせたいよね!【クソマスターの発想】
*3:だって、AC29ですもの。このワイトは古代の高名な戦士という設定だったため、《盾熟練》 や《回避》 などをめいっぱい取っており、魔法などに頼ることなく実力でAC29を勝ち取っていた…………って、いやいやいやいや! それ3レベルPCに出しちゃダメな敵だろ! まあ、出したんですがw
*4:いまやマジックアイテムの鑑定はディテクト・マジック呪文と〈呪文学〉で行われるように。アイデンティファイ呪文はこの鑑定時にボーナスを与える呪文に変わりました。個人的にはこの変更は遊びやすくてスゲエいい変更だと思ってます。いちいち街帰ったりすんのめんどくせえし、かといって高価(だった)なアイデンティファイ呪文持ち歩くのもアレだし。
*5:シナリオには「PLの望む武器のフェイベイン武器にしてよい」とか書いてあって4eの影響を感じさせる。ので、その精神に従い戦闘時には「古の戦士殺したヤツが持ってる武器に収束する」という”シュレディンガーの武器”制を採用していた。このとき、見事とどめを刺したのがアルティンだったためロングソードという一番順当な武器になったが、フェイベインのスタッフとかフェイベインのアーマースパイクとかフェイベインのスターナイフとか見たかったなー。特にスターナイフはマーティンがエネルギー放出で結構ダメージを稼いでいたので惜しいw
*6:建設フェイズに建てた建物により、街の人口が増え、国の経済や治安、人心のベースポイントが上がって、街の運営ロールがラクになったりするシステム。
*7:具体的にはそれぞれのイベントで街の安定度が2ずつ上がった。こういうイベントで街の性能を高めて税金を上げるのが正しい為政者ってもんですよ。【たぶん間違ってます】
*8:毎月25%で起こるイベントの一つ、「大金持ちの到来」。ここでジュゼッペのダイス目が爆裂し、だいたい3-4ヶ月分の税収に当たる財貨を徴収できた。街に一体何が起こったのか。きっと偶然街を訪れた豪商かなんかを殺s(以下略
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