【PF】Kingmaker 第3回(下）【ネタバレ】

続きー。

エラスティルの月(7月)21日

コボルドの巣を探す一行は、コボルドの王子ミクメクの果てしなくあやふやな情報を元に川を遡上してゆく。謎のゾンビとの遭遇後、旅を続けること2日。一行は、川で魚を捕る黒いコボルドを見つける。

ミクメク「イタ！　あれ、我が同胞！　お日様肉、よくやった！　誉めてやルぞ！」
全員「･･････」
ミクメク「ナニぐずぐずしてル！　お前ら早ク、俺を巣に連れてく！　父上喜ぶ！」
全員「･･････」　【わかっていることではありながら言いしれぬ怒りを覚えている】




「巣穴」は入り口に木の坑木が掛けられており、天井までの高さから考えて人かドワーフの手で掘られたものであることが一目でわかる。
入り口の上の看板には、年月に消えかけた字で『オークトップ銀山』と残されている。どうやらタルドールの植民時代にうち捨てられた鉱山のようだ。

アルティン「うぉ、銀山だ!　やった！　我が国の資源が増えるぞ！」
GM「もう略取する気マンマンだなオイｗ」

巣の中からは、ミクメクの姿を見たコボルドたちがわらわらとまろび出てきた。
やがて、仲間たちに呼ばれて羽根飾りと安っぽいガラス玉や安宝石で飾り立てたコボルドが姿を現す。

族長「おお！ミクメク！生きていたカ！さすがは我が息子！」

しかし、後から現れたシャーマン風の衣装をまとった紫色のコボルドが『神の名の下に』族長以下スートスケール（"ススウロコ"の意）のコボルド達に巣に下がるよう命じた。

タルトゥク「神、俺に命じタ！　こいつらと話し合い、一族の運命をはかれト！　逆らうもの、スグ生け贄！　下がル！　下がル！」

コボルド達がいぶかしみながらも巣に戻ったのを見計らって、タルトゥクが口を開いた。

タルトゥク「さてと･･･あんたら冒険者だよな？」

コボルド特有の甲高い声でありながら、先ほどとは打って変わって人間のような流暢な口調で話を始めた。

アルティン「お前・・・・・・何者だ？」
タルトゥク「俺かい？　俺はご覧の通り、あわれでみじめなコボルドさ。それも、世にも珍しいスミレ色のコボルド様ときた、ハッハァ！」
一行「･･･？」

自嘲するような笑みを口元に浮かべたタルトゥクは、コボルドとは思えぬ知性とウィットを交えながら話を続ける。

タルトゥク「で、あんたら、ここをどうするつもりだい？　もしここを奪おうってんなら、しばらく待っちゃもらえないかな。あと3日もあれば、ここの連中皆殺しにしてやるからさ」
一行「？？？」

タルトゥクがいうには、彼はコボルドが憎くて仕方がない。そのため、彼はこのみっともない姿で（と彼は言った）コボルドの巣に紛れ込んではその巣ごと皆殺しにして回っているという。

タルトゥク「なあ、どうせコボルドどもは皆殺しにするつもりだったんだろ？　だいたい、ミクメクを連れ帰ってきたってことは、あんたら哀れなマイトたちを少なからず殺してきたんじゃないのか？　1部族滅ぼすのも2部族滅ぼすのも同じだろ？」
アルティン「･･･や、まあ、それは、ほら。降りかかる火の粉をだね･･･」
タルトゥク「フン、どうせ開いた巣穴を見つけて入り込んで、迎撃されたから返り討ちにしたとかっていうんだろ？　いやいや、責めようってんじゃないぜ？　いいじゃねえか、それが冒険者の正しい姿さ、パラディン。アンタの神だって許してくれるに決まってるよ！」
アルティン「･･･ぐむむ」
タルトゥク「あんたらが手を汚すか、俺が手を汚すかの違いに過ぎないよ。だいたい、殺さなくたってこいつらここから追い出されたら結局のたれ死んじゃうんだぜ？　だったらひと思いに殺してやるのがやさしさってもんだろ？　だったら俺に譲ってくれよ。今日のこの日までで、俺はここのコボルドどもを半分は殺してるんだ。もう半分皆殺しにするなんざお手のものさ！」

マーティン「･･････どうします、コレ」
ジュゼッペ「賞金首リストのコボルドは”皆殺しにするか支配する”だから無理して殺す必要はないですけど、殺しちゃった方が後腐れはないですよねー※3」
タルトゥク「なあなあ、宝やなんかは残しといてやるし、俺は皆殺しにしたら次の部族探しに旅に出るからさー。いいじゃんどうせ殺すんだろ？」
アルティン「･･･パラディン、いや秩序にして善でなければあいつ叩っ斬りてぇｗ」
タルトゥク「お？　俺を殺す？　いいよそれでも。そしたらあいつらも敵討ちだって襲いかかってくるだろうから、あんたらも良心の呵責なく奴らを皆殺しにできるってワケだ。さー殺せ！　さー殺せ！」
アルティン「うっわー、ホントにめんどくせぇコイツｗ」

扱いに困ったPC達がどうすべきかを討論していると、タルトゥクは「やれやれ、やらねえのかよ･･････つまらんな」と言い残すと、いつの間にか消えていた※４。

----Behind the GM Screen----
タルトゥクは元ノームのソーサラーである。
彼は自分の生村がオーガの群れに襲われた際に戦死。実はオーガの姿にいち早く気づき「村の宝や食料庫の場所を教えるから自分の命だけは助けて」と命乞いをするつもりだったのだが、話しかけようとした瞬間にでかい棍棒でぶん殴られて床のシミと化した。
しかし、村人の目には「巨人に真っ先に駆け寄って一番槍を付けた勇者」と映ったことから、オーガ撃退後、英雄的行為を認められて村に代々伝えられるリインカネーションの巻物で蘇らせてもらえることに。
ところが、なんたる運命のいたずらか、神は彼をコボルドとして転生させた（なお、スミレ色の体色は彼の髪の色を反映したものらしい）。
やがて、彼は村でコボルドであるがために疎んじられるようになり、ある時キレて村ごと皆殺しにして出奔。
その後は世のコボルドを皆殺しにすることだけを目標に生きている。<はったり>とチャームとプレスティディジテーションで自らを『神の使い』と演出しつつ、コボルドを生け贄にしたり殺し合わせたりして2つの部族を滅ぼしている。
なお、『皆殺し』には自分も含まれており、『どうやって自殺するつもりか』までもがシナリオに書いてあるｗ　

こんなイカす背景なんざお構いなしで坑道に殴り込んできた見敵必殺な冒険者に会話の余地もなくぶっ殺されてるんだろうと思うとせつなさが止まりませんｗｗｗ

あまりにエッジが効いてるオモシロNPCだったのと、パーティに秘術使いが足りなかったことから、ここでPCがうまく言いくるめるようならパーティメンバーに入れちゃおうとか思ってたんだが、ご覧のようにそういう展開にはならなかった。残念ｗ
--------------------------------

結局一行はスートスケイル族の族長にタルトゥクの正体を明かし、「ここに住んでてもいいけど、人を傷つけるなよ！」と言い残して立ち去ることに。

アルティン「コボルドだから、ってだけで殺すのもなぁ･･･一応パラディンだしねぇ･･･」
GM「まあ、『悪は殺す』ってのも『悪は改心させる』ってのも秩序にして善のあり方ではあるからねえ。考えた結論がそれならいいんじゃないの？」

ということで、一応コボルドをコントロール下におくことに成功した一行は、川をさらに遡上して森の探索に向かうのだった。※5


エラスティルの月　22-24日

森を捜索/測量しつつオレグの交易所に戻ることに。
森の中では野生の大型犬や、罠師が仕掛けた落とし穴に落ちた犬を見つけたりとかしつつも、なんということもなく平穏に過ごすことができた。


24日目までは。


GM「はーい、じゃあ24日目になりました。ランダムエンカウントチェックをd20でどうぞ」
アイリス「じゃ、私が･･･（ころころ）･･･う、１。」
GM「お、出たね！　じゃあ、d%をどうぞ！」
アイリス「（ころころ）･･････76」
GM「（エンカウント表を確認しながら）･･････ブッ！ぬはは！」
アルティン「な、なんだおい！　妙にうれしそうだけど！」
GM「えー、森の東から、4匹のトロルが走ってきまーす！」
一同「ギャアアアアアア！　森の最強生物がぁぁぁぁ！」「嫌ぁぁぁ！　2レベルなのにCR7はイヤぁぁぁ！」
にわかにわき上がる阿鼻叫喚。
とはいえトロルの移動力は30ftであり、50ftの馬を駆るPC達はなんとかトロルの手を逃れることに成功する。

リルカ「ヒ、ヒィィ･･･死ぬかと思った･･･」
マルルイス「いままで森はそんなに危険な生物出なかったんですけどねー」【アイリスのプレイヤーを横目で見ながら】
アイリス「ほ、ほら、ランダムではたまにはありますって！　さ、それより次のエンカウントチェックを･･････（ころころ）･･･あ、１･･････」
GM「はい、エンカウントですｗ　d%を。」
アイリス「･･･（ころころ）････････････77。」
全員「うぉぉぉい！」
GM「はい、それでは･･･西の方から3匹のトロルが走ってきまーすｗ」
アルティン「ちょｗ　なんだよここ、トロルの森かよｗｗｗ」
ジュゼッペ「前門のトロル、後門のトロルｗｗｗ」
マルティン「いままでがウソのようにエンカウントが厳しいｗ」
GM「いやー、やっとＤ＆Ｄの森らしくなってきたねぇｗ」

しかしここでもトロルのイニシアチブが湿り気味だったがために、アルティンの馬が一瞬死にそうになった以外はたいした損害なく離脱に成功。

GM「ちぇー。やっぱ馬に乗ってると逃げられやすいなー。夜襲とかで出ればいいのにー」
ジュゼッペ「･･･やっぱりガチで殺す気だったんだなこの人w」

そんなこんなでほうほうの体でオレグの交易所に着いた一行は、早速錬金術師の火を大量に注文したそうな。
とっぴんぱらりのぷう。
【ザ・泥縄　Act3】※6

その後、一行は、森で猟師の死体を見つけたり、草原で見つけたケルンから魔法の指輪を発掘したり、ランダムエンカウントで『森のベスト３クリーチャー』ウィル・オ・ウィスプに襲われてみたりとスリリングな調査生活を送る。※7
なお、ウィスプはPCの頭上を飛び回りつつ透明化して毎R電撃を浴びせるというイヤ戦術でけっこうな損害を与えることに成功し、GMスクリーンの影で「少なくとも1～2人は殺れる！」とほくそ笑んだのもつかのま、異形である＝眠ることがバレてリルカのまどろみで眠らされ、袋叩きにされて命からがら逃げ出していきました。ちぇー。夜襲とかで（以下略

アルティン「･･･いや、やっぱり格段にランダムエンカウントきつくなってるよね？」
マルルイス「こないだまでの平和な森がウソのように厳しくなってますよねw」
アイリス「いやいや、これが普通なんですよ。もともと危険だったのが、これまでは幸運にめぐまれてただけじゃないですか？」　
全員「ふぅううううーーーーん」
アイリス「･････････」

ということで、エイローデンの月(8月）7日にオレグの宿に帰還したところで今回は終了。
以下次号ー。


いやあ、敵が弱くてPL暇そうだから敵を強化しようかなーとか言ってた矢先にPLによって強化されるとはw
ランダムエンカウントが1/20(5%)で、トロルが出るのはさらに4%でしかないのに、それが2回続けて出るとかｗｗｗ　鬼引きすぎるｗｗｗｗｗ

さすがほりびさんの豪運はとどまるところを知らんのう。

トロルも1-2匹ならそこそこいい経験値稼ぎになるんだろうけどなー。
かならず３匹とか４匹とかで出るのできっと近くに巣があるんだと思います。
【イヤな伏線】
や、２lvPCだと”引き裂き”で引き裂かれて即死とか普通に起きそうな気もするけどな。
ドンマイ。

***

※3：オレグの交易所に貼られてたポスターの1つ「kobold on the hill」には『丘に巣くっているコボルドを全滅ないしコントロールできたものには賞金をつかわす』というお触れが書かれていた。
※4：比喩的な意味でなく、インビジビリティを使って逃走。実は5レベルソーサラーなので、正面から戦ってもそこそこヤれるキャラだったり。展開によっては坑道におびき寄せてコボルドによる人海戦術＆魔法攻撃でタコる予定でした。
※5：まあ、スートスケイル族のみなさんは翌日戻ってきたタルトゥクに皆殺しにされたわけですが。なーむー。あと、「壁には血でTouchableと残されています」ってギャグを言ったらぽかんとした顔をされた。ドンマイ。
※6：そういや再生のルールが変わって、殺すのラクになりました。再生能力は「特定の属性ダメージを与えることでそのラウンドは停止する」ってことになったので、たとえばトロルならhp0になるまで殴ったら根性焼き1点で死ぬ感じに。まーでも、火でも酸でも結局次のラウンドからは再生するんでやっかいはやっかいなんだけど。
※7：なお、No.１はトロル1d4匹(!)、No.2はシャンブリング・マウンド。・・・いや、どっちも1レベルのシナリオのエンカウントじゃねえよこれw　まあ馬に乗ってれば逃げられるからってことかもだけど、単に昔ながらの「D&Dの森はダメ」を再現してるだけなのかもw